永久の眠り

 

第三話

 

恭也達がヤマユラの集落にとどまることにしてから一週間の時間が立つ。

 

恭也、薫、那美がその旨を伝えると、さっそくであるが村中の人を集めて簡単な宴会となった。新たな仲間に乾杯。との声も上がり三人はそれにとても感謝した。

 

恭也はテオロ等に酒を飲まされていたり、薫と那美は、ソポクと共に話をしていたりして直に時間は過ぎてゆく。

 

「おやっさん、確かにこの土地じゃ作物は厳しいですね」

 

「あー、土壌が悪いみたいでな、どうしようもねえ」

 

翌日、恭也は首にタオルを巻いて、テオロと共に畑仕事をしていた。何故かと言えば、前に村を案内してもらったときに恭也の目に付いた手付かずの畑、何かを作っていたのだろうが、その有様では出来なかったのだろう。それを見て自分も手伝うことが出来ればときたのだが、いきなり土壌の問題にぶち当たりどうしようもなくなっていた。

 

「恭也さーん。お昼にしましょう」

 

其の時に恭也に声がかかる。どうやらエルルゥが食事を持ってきてくれたらしい。那美と薫にアルルゥにソポクも一緒である。

 

「おやっさん、行きますか」

 

「おうよ」

 

そういてって二人は皆と食事をするために畑を後にする。

 

「で、恭也君、成果はどうだい?」

 

薫が恭也にお茶を渡しながら、今日の農作業のことに聞いてきくる。食事をするために胡坐をかいていたその上にはアルルゥが当然のように座っていたりする。

 

「ん〜、土壌が悪すぎますね。これじゃ作物は育たない。かといって俺は肥料なんかの知

識は無いですからちょっと手が出せないですね」

 

恭也は苦笑いをする。

 

「お兄ちゃん、アルルゥも欲しい」

 

恭也が食べようとしたものを、アルルゥも欲しがる。やれやれといいながらアルルゥに同じものを渡す。その様子を微笑ましそうにに見ていたエルルゥが

 

「ふふっ、アルルゥもすっかり恭也さん達に懐きましたね」

 

「恭也さんは妹には優しいですから…、なのはちゃんと同じ感じなんだとおもうんですよね〜」

 

那美が現状を見てそう語る。皆が食事をする間そこにはゆっくりとした時間が流れてゆく。

 

「でも、畑が駄目って事はまた森へ行かないといけないですね」

 

エルルゥが思い出したようにそういう。

 

「アルルゥも」

 

いつの間にか、エルルゥの傍に行って自分も行くといっている。

 

「なら、俺も付いていきます。二人だと危ないでしょうし」

 

「いえ、大丈夫ですよ!?」

 

エルルゥが慌てて大丈夫だというが、ソポクから折角なんだからということで折れることにする。

 

「なら、私たちは先に家に戻っていますね?」

 

那美はそういって薫と共に家に戻ってゆく。どうやらトゥスクルさんから薬のことについて手ほどきを受けるらしい。おやっさん達もその様子を見て、また農作業に戻ってゆく。

 

「じゃ、行きましょうか」

 

ご機嫌なエルルゥの言葉と共に三人は森へ入ってゆく。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

「ふむ、薬草といっても色々有るんだな」

 

(それに、俺の居たところでは見ないものが多い…根本的に違うのだろうか)

 

恭也は、エルルゥと薬草を集める傍らそんなことを呟く。

 

「そうですね〜。でも猛毒を持ってる物もたくさん有りますから注意してくださいね?」

 

恭也の独り言に律儀に返答するエルルゥ。

 

「注意するのはいいのだが、エルルゥは凄いな。ここまで知識をつけてるとは…」

 

「そそそそ、そんなこと無いですよ!?」

 

「謙遜することじゃない。ここまでの知識をもってるなら胸を張ってもいい」

 

「あう…」

 

エルルゥは恭也のストレートなほめ言葉に顔を真っ赤にしている。

 

「そういえば、アルルゥは何処に行った?」

 

「あれ? 恭也さんの周りにいたんじゃなかったんですか?」

エルルゥは恭也の周りにいたのかと思っていたので、心配はしていなかったのだが…

 

「…あの子、また蜂の巣でも取りに行ったのかな…」

 

「呼んでみたらどうだ? それで駄目なら少し待って、探しに行けばいい」

 

「そうですね、 ア〜ル〜ル〜ゥ〜」

 

森の中にアルルゥを呼ぶ声が木霊する。そして直に、茂みの中からアルルゥが顔を出す。

 

「ん」

 

「もう、アルルゥいきなりいなくなったら駄目じゃない」

 

エルルゥはそんなに遠くに行っていなかったこと自体に安心しているが、恭也はアルルゥの服に付いた血痕をみのがさなかった。

 

「アルルゥ、血の痕が付いているが、何かあったのか?」

 

アルルゥのを軽く見て、怪我では無いと断定し問いかけると、アルルゥは恭也とエルルゥを引っ張り出す。

 

「…こっち」

 

薬草を取っていた場所より、幾分、ヤマユラに近い場所まで、アルルゥに案内される

 

「この人」

 

「!? 凄い怪我、恭也さん手伝って下さい!! 家に運びます」

 

エルルゥは一目見てここじゃどうしようもないと判断したのか恭也に手伝うように支持を出す。恭也は武器になりそうなものが無いか軽くチェックし、倒れている男の顔を見ると

 

「!?」

 

仮面?

 

口だけが表に出ている、角のようなものがある仮面を…。

 

それを見て思い出す。自分がこちらの世界に来ることになったときに、聞いた声を思い出した瞬間、恭也の鼓動が跳ねる。

 

「っぐ…」

 

体が言う事をきいてくれない…頭の中には、煩い位に鈴の音が響く。

 

「…!…恭…さ…!」

 

かろうじてエルルゥの声を聞くことができるのだが、感じるのは、鈴の音と、小太刀の振動のみ。また頭の中に声が響いてくる。

 

 

 

幾重、幾重にも待った

 

願いを叶える事が出来る者が現れるまで

 

我が願い

 

神の望み

 

真なる目覚めはまだ今だ、来ぬ

 

しかし、想いは消えぬ

 

悲しき想いはそのままに

 

真なる目覚め

 

全ては其の時の為に

 

「ひさしぶり、恭也」

 

(神姫か? お前今までどうしたんだ? それに今のは)

 

恭也の薄れそうな意識の中で、声だけが響く

 

「こっちにも色々あるのよ、今は説明してる時間が無いから、戻ったら話してあげる。いま話せるのは…私以外の声をきいたわね?」

 

(…あぁ)

 

「あれは黒牙の声、いや想いのがいいのかな? その辺も直に説明してあげるわよ。神咲の娘にも説明しないといけないしね」

 

(…分かった)

 

恭也が納得した瞬間に意識が戻る。

 

「恭也さん、大丈夫ですか? なにか考え事でも?」

 

エルルゥがいきなり、動きを止めた恭也を心配そうに見つめている

 

「大丈夫だ…、それよりも急ごう。危ないんだろ?」

 

「あ、っはいそうでした。アルルゥ先に行って、おばあちゃんの知らせてくれる?」

 

「ん?分かった」

 

アルルゥはそういって村まで走り出す。エルルゥと恭也は、倒れている仮面の男を村まで運んでゆく…

 

 

こうして物語の欠片は揃い始める。

時の流れにまかせ、一つ一つを繋げ一枚の絵にしてゆく。

歯車は回りだした、後に待つのは、歓喜か絶望か…

 

 

 


ふ〜どうだ今回は早くできたぞ

「ラスティ」いや…こっちのシリーズも時間かかってるから。とゆうか書きあがっった一緒に近いからって早くできたわけじゃないでしょうが!!

いやまぁそうなんだが

「ラスティ」ならサクサク書きなさい(にっこり)

ごめんなさい…その笑顔怖いです…

「ラスティ」ならサクサク書くことね(にこにこ)

なんでここまで冷遇されなけれ…げふ(蹴り飛ばされる)

「ラスティ」余計なことを…。さて切り替えて。ここまで読んでいただいてありがとうございましたー。次でお会いできれば幸いです




いよいよ物語の歯車が動き出す〜。
美姫 「傷付いた男を村へと連れ帰った事により、果たしてどう進んでいくのか!?」
一体、どうなる!?
美姫 「次回も楽しみにしてますね〜」
待っています。



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